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第1回 「似て非なるもの」その1・・「エネルギー」


ちょっとやぶにらみ講座、第2回に出ている「似て非なるもの」についての考え方です。
その考えに至るようになったのは、それまでと違う症状の出し方の人が多くなってきたからです。
例えば、寝ていておきる過呼吸。
成長するにつれてひどくなるADHD。
お母さんと2人の時だけ暴れる幼児。などなどです。
ここで共通するKey Wordの1つ目は「エネルギー」です。
「おきあがりこぼし」の概念はそれほど、まとはずれなイメージではないと思っています。
「重し」となるものは良い経験値の積み重ねで増えていきます。成人に比べ、成長速度は若い人たちの方が何倍も急速です。若い人たちの方が、「出会い」や「感動」など良質な経験を積むからだと教えられていましたし、自分でもなんとなくそうだと思っていました。 
自分が年齢を重ねるにしたがって、若い頃よりおもしろい事は増えてきたように思います。色々な事をやってみて、また別な面白い事を見つけたりしていました。そんな事を繰り返していたら、大人も良い経験を積むのは、そんなに下手ではないと思うようになりました。
本当は若い人は、経験値の獲得が上手でないのではないかと思うようになりました。「重し」をうまく作れていないのではないかと。それでも、バランスは取れているように見えるのはなぜだろうと。
日々なんとなく疑問を持って過ごしていると、ある事に気づきました。「重し」になるものは、「経験から得られた安心感」とは「別の要素」があるのではないかという事です。
その「別の要素」というのが、「心のエネルギー」ではないかというのが今回の話です。
私のイメージした事がどんな事かというと、

非常に簡単な図にすると、こうなのではないかという事です。
子供の時もエネルギーは高めですが、思春期に入ると心が一気に成長するため、急激にエネルギーも増えてくるのではないでしょうか。そうする事でバランスを保つのではないかと思っています。 
成人期になると経験を積んで「安心感」は増えて、エネルギーは少なくなってくるのではないでしょうか。
最近、増加している「似て非なるもの」となる人たちは、このエネルギーの部分が足りないのではないかと考えてみたらどうでしょうか。
「重し」はある一定以上少なくなると突然「おきあがりこぼし」としての機能を失います。徐々にではなくて、誘因もなく突然にです。「安心感」は、経験値なので大きな変動はないはずですが、「エネルギー」の方は、日によって時間によって、かなり変動するのではないでしょうか。1日の中で、色々な症状が出たり消えたりするのはそのせいではないでしょうか。これが「似て非なるもの」を説明するのに一番しっくりくる考え方です。
これをお読みになられた皆さんは、どうお感じになられるでしょうか。
「お箸が転げても楽しい年頃」という言葉があります。昔は笑い転げている女の子達をよく見かけました。一日中、走り回っている子供もたくさんいました。最近、見かけなくなっています。こういった事も「エネルギー」が少なくなっているせいなのではないでしょうか。
なぜ「エネルギー」が少なくなっているのかは分かりません。色々な理由があるのだと思います。
日常の診療では、50代の人でも同じ傾向がある人はいます。もちろん若い人たちは、どんどんと増えてきている印象があります。
たとえば
  • 10代の人が道で突然意識を失って倒れ、救急隊に運ばれ病院に着いても、何時間かしないと眼が覚めない人がいます。色々調べても原因はどこにもありません。
  • ある人は、歩いていて何もないところでつまづき、転びます。その際、手もつけないので、顔から落ちてしまい前歯が4本折れたという人もいます。
  • 自転車で通勤や通学途中、転んで目が覚める人も多くなりました。
  • 手に力が入らなくて、ペットボトルが開かない。持っているペンなどを知らないうちに落としてしまう人もいます。
  • 体温が34℃台の若い人がいます。
こういった人たちは、こんな症状で、はじめから当院を受診するわけではありません。様々な検査をしても何も所見がないので「心療内科」や「精神科」の受診を勧められる人が多くいます。
「心の症状」や「自律神経症状」がひどいからと、来院する人はいます。全身倦怠感や、易疲労感。抑うつ気分や意欲の低下などもありますが、うつ病の一種だと思っている人がほとんどです。でも、うつ病は日によって時間によって、ひどくなったりしません。ほとんどの人が対人関係もあまり円滑ではありません。
昔は、若い人であればあるほど、ピリピリとした「バリア」をまとっていました。最近、その「バリア」がないのです。「安心感」を得られないと通常は「バリア」は強くなるものです。(「支配欲」のもとで隷属してしまった人は、若い時はあまり受診されません。)
外に出ないで家にいる限り、全く困らない人が多くいます。若い人なのに、まるでご隠居さんの様です。のんびりまったり過ごしています。ある人は「みんな元気だな」「よく頑張れるな、すごいな」と同世代の人の事を思っていたりします。
どうでしょうか。若い人たちの様子が解っていただけるでしょうか。このような事をあわせて考えると、どうやらエネルギーが足りないというのが、理にかなっているという結論になりました。
「エネルギー」がある程度以上足りないと「おきあがりこぼし」として機能しません。常時足りない人もいれば、時々足りない人もいます。皆さんの様子を見ていると「エネルギー」は数時間(だいたい3時間ぐらい)に1回ガクッと落ちるようです。それは、たぶん健康な人も同じです。健康な人は問題がおきるほど少なくならないだけです。
「おきあがりこぼし」が倒れてしまう向きも、同じ方向ばかりになる人もいれば、あちらこちらの向きに倒れてしまう人もいます。
要するに、1つの症状ばかりになるか、多彩な症状になるかの違いです。
「エネルギー」が足りない状況になるのが、何才頃なのかという事も問題になってきます。幼児期から目立ちはじめる人もあれば、40代50代になってからの人もいます。年齢が高くなると、ひどかった症状が安定してくる人もいれば、だんだんとひどくなる人もいます。
10代の早いうちになった人は、徐々に症状が減ってくる人が多いように思いますが、20才過ぎて足りなくなってきた人は、どんどん悪くなっている印象です。
色々なパターンによって、診断される病名が違ってきます。類似した精神疾患が違ってくるからです。
個々の疾患については、また別のところで書いていきたいと思います。
このような症状の若い人たちの中に、ある日突然、別人のように元気になる人がいます。「エネルギー」を出すスイッチがいきなり入ったというようにしか思えない印象を受けます。今までに何人もそんな人を見ましたので、きっとスイッチのようなものがどこかにあるのだと思います。